大会長挨拶

第10回クリニカルバイオバンク学会シンポジウム
大会長 西原 広史
(慶應義塾大学医学部・教授/がんゲノム医療センター長/臨床研究推進センター・生体試料研究支援部門長)
この度、第10回クリニカルバイオバンク学会シンポジウムを、2025年7月4日(金)・5日(土)の2日間の日程で、慶應義塾大学日吉キャンパス 協生館 藤原洋記念ホールにて開催する運びとなりました。
クリニカルバイオバンク学会は、診療施設併設型バイオバンクに関する研究と、会員相互の情報交換を行うことにより、「高効率・高品質の検体保管」、「臨床現場に即した生体試料の管理と解析」「バイオバンク間のネットワーク形成」を実現するための情報・技術の共有を目的として設立されました。特に、ゲノム医学の飛躍的な発展により、臨床検査として最先端の解析機器を用いた遺伝子解析を行い、診断・治療を行うゲノム医療は、がん・難病・生活習慣病など幅広く臨床応用されています。さらに、数年以内には全ゲノム解析を臨床検査として実施することが見込まれており、より高度なゲノム検査を成功させるために、「診療情報と直結した生体試料の確保」と、「生体試料の合目的な高い品質管理」が必要であり、「迅速かつ少数検体の解析を行い、診療へフィードバックする」ことが求められます。
2025年の第10回シンポジウムでは、「ゲノム医療の新たなフェーズにおけるバイオバンクの意義を考える」をテーマとして、様々な疾患に対応できるゲノム検査を確実に実施するために必要な検体採取、処理、保管に関する諸問題を抽出し、バイオバンクの利活用を含めて議論したいと考えています。さらに、最新のゲノム検査を迅速かつ正確に実施するための検査体制や精度管理基準、そして我が国でまだ未整備となっているLDT(Laboratory Developed Test)あるいはLTS(Laboratory Testing Service)の在り方について、最先端の知見を集めたシンポジウムを企画致します。ゲノム検査を中心とする最先端医療に関する課題をどのように克服していくべきか、その中でバイオバンクの意義を参加者皆さんで考える、課題提示・解決型のシンポジウムにしたいと考えております。盛夏の東京ではありますが、万障お繰り合わせの上、より多くの皆さんにご参加頂き、様々なお立場の方からご意見を拝聴できる機会になれば、と願っております。