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大会長挨拶

大会長   鈴木 真 

沖縄科学技術大学院大学

🌸めんそーれ🌸 公益社団法人日本実験動物学会の会員、並びに関係者の皆様、第73回の日本実験動物学会総会は沖縄の地で開催します。73回という歴史ある日本実験動物学会の総会ですが、これまで沖縄の地で開催されたことはなく、「ようやく」というか、「待ちに待った」という言葉がふさわしいタイミングでの開催となります。

動物実験は生命現象の解明に多大な貢献をし、医学や獣医学の発展に寄与してきました。疾病の発症や進展の機序を明らかにすることで、ヒトや動物にQuality of Lifeの改善をもたらしています。その一方で、動物実験に対して否定的な考えを持つ人々が一定数いることも事実であり、これは動物福祉に対する配慮が不十分な状況で動物実験が行われていた歴史と、動物福祉に配慮して動物実験を実施するよう努めていることの情報発信の不足によるものと思われます。日本における動物実験は、各研究機関の自主管理の下に行われています。適切な動物実験を実施するために機関の長は、管理者、実験動物管理者を任命し、動物実験委員会を設置して動物実験を実施する体制を整備すると共に、自己点検・評価を実施して動物実験が適切に行われていることを確認しています。また、第3者による外部評価を受審して、自己点検・評価が公正であることも確認しています。このように、日本で実施されている動物実験の多くは、動物福祉に配慮して実施されています。しかしながら、動物実験を適切に実施していることを積極的に外部に発信している機関は、多くはありません。そこで、第73回大会のテーマを「世界標準の動物福祉を実現し、世界へ発信する」として、日本全体の動物福祉に対する考え方と底上げを画して、日本では動物福祉に配慮した動物実験が実施されていることを社会に、そして世界に発信していくためのターニングポイントとなることを目指します。

このテーマに沿って、招待講演やシンポジウムを企画しています。特別講演の演者として、沖縄科学技術大学院大学の銅谷賢治先生、AAALAC InternationalのDebra Hickmen先生、そして京都大学の横川先生をお招きする予定です。また、動物の苦痛や疼痛を寛解する機序や手技に関するシンポジウムを企画しています。加えて、動物福祉に配慮した動物実験の実施を支えてくださる企業や団体の方の展示ブースを充実して、参加者と有意義な情報交換が出来る環境を提供します。

沖縄は国内ばかりでなく海外からも多くの方が訪れる観光地です。このため、移動や滞在に多少経費を要しますが、早割制度を活用していただき、日常とは異なる環境でリフレッシュしていただければと存じます。